どっちの点心ショー

帰宅して晩ごはんを食べながら缶ビールをくいっとやりつつ、ふと考えた。

生き返るぅ

もし、ビールと一緒に食べられる点心が餃子焼売のどちらかしか選べなかったら、自分はどっちを選ぶのか?

ちなみに、
餃子+ビールのセットは『ギョウビー』
焼売+ビールのセットは『シュウビー』と、
両方とも愛称を付けてかわいがるぐらいに、自分にとってはものすごく愛おしいのだ。

悩んだ。
考えた。
いったい、どちらが自分の伴侶としてふさわしいのか?

『ギョウビー』はラーメン屋での、
『シュウビー』は新幹線や飛行機の中での定番メニューである。
普段出会う回数は圧倒的に『ギョウビー』の方が多いのだが、
ごくたまにしか出会えない『シュウビー』との再会の時も待ち遠しいのである。

性格も対照的である。
『ギョウビー』の方がエネルギッシュで活力をつけてくれる一方、
『シュウビー』の方は落ち着いた佇まいでホッと一息つかせてくれるのだ。

と、しばらく悩んでいるうちに、『豚まん+ビール』という第三の選択肢が登場した。


もっと増えるとめんどくさいので、あれこれ考えず眠ることにした。

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メロンパンは難しい食べ物である

今日1日だけ、ちょっと遠くで仕事することになっていた。
がんばって早起きして、朝ごはんをものすごい勢いでかきこんで家をダッシュで出て、息を切らしつつ朝6時50分ぐらいの電車に飛び乗る。

ドアが閉まってちょっと落ち着いた頃に辺りを見回すと、普段通勤する時間帯とはだいぶかけ離れていたせいか、電車内の雰囲気がいつもとだいぶ違う気がした。

まず、新聞を広げて読んでいる人が圧倒的に多い。
そして、スーツ姿の人もやっぱり多い。
さらに、よっぽど時間がないのか、朝ごはんをもぐもぐと食べている人がちらほら見受けられた。

ふと右に目をやると、そこにいた人が食べていたのはメロンパンだった。

あんまり苦手な人っていないよね?

そこで、ひとつ気がついた。
なんだかちょっと食べ方に慎重さがみられるのだ。
ゆっくりと、まるで一口ずつ確かめるようにして食べている。

 「時間がないならむしゃむしゃとかぶりつけばいいものを、
  何をこのひとはマイペースでのんびり食うておるんか?」

という疑問が生じたんであるが、
その疑問は、メロンパンが入っているビニール袋を見て、瞬時に氷解した。
クッキー地の部分が、ボロボロとこぼれ落ちたのがビニール袋にたまっているのだ。

ご存じの方も多いと思うが、『メロンパン』という名前は、その味でなくに由来するらしい。
パンの上に載せてあるクッキー地が、焼くと割れてメロンのような網目模様になるから『メロンパン』なのだそうだ。
ベーカリーに行って焼きたてのメロンパンを買うと、クッキー地がまだ湿気を吸わずにサクサクしていて、とても幸せに感じることが多い。

が、しかし、このサクサク感に思わぬ落とし穴が潜んでいるのである。
食べると、決まってこぼれるのだ。
それも、サクサクであればあるほど、だ。

昔は、コンビニで買えるメロンパンはクッキー地がべちょべちょで食べられたものではなかったが、最近は質が上がってきたようでサクサクしたものも増えてきている。
言い換えれば、「こぼさずきれいに食べるのが難しくなっている」ということになる。
そうすると、自ずとメロンパンの食べ方というのは決まってくるものなのだ。

①おちょぼ口で食べる
メロンパンを噛み切ったところからこぼれそうなクッキー地を、微妙な息のコントロールで吸い込む。このとき、間違っても吹き出したり、吸い込みすぎたりしてはいけない。

②メロンパンは決してビニール袋から出し切らない
口に入れる必要最低限だけ出す。出し過ぎると、かぶりついたときにまぶしてある砂糖が口の周りにいっぱいついてみっともないから要注意だ。
こぼれたクッキー地がビニール袋に必ず入るように、袋の位置に気をつけることも必要だ。

③最後まで食べきる
こぼれたクッキー地でビニール袋に残っているものは、最後は袋をひっくり返してちゃんと食べる。ただし、これはアイスのふたをこそげるのと同じぐらいに恥ずかしい行為なので、公衆の面前では注意が必要だ。

何が言いたかったかというと、要はメロンパンは通勤電車の中で食べるのには決して向いてない食べ物だということである。
もしどうしても時間がなくて通勤電車の中で朝ごはんを食べるなら、刑事さんがよく張り込みのときに食べる定番商品であるあんぱんをお勧めする。

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やめられない

世の中、ときには必ず負けるとわかっている戦いに臨まなければいけないことがある。
そんな戦いの相手は全国至る所に存在し、さまざまな流派で自分を迎え討つ。古豪から新参者まで、曲者から名の知れた猛者まで。すべての敵が虎視眈々と、今か今かと戦いの刻を待ち続けている。
敵陣の入口には、時折吹く風に揺らめく暖簾。意を決してそれをくぐる前から、すでに戦いは始まっているのである。

その戦いの舞台は、一般に『ラーメン屋』と呼ばれている。

店に入るなり、威勢のいい掛け声が飛ぶ。「いーらっしゃいませーぃ!」
気持ちの引き締まる一瞬である。

たいがいは、まずビールを。そして、ラーメンを注文し、どっかと席に座る。
ビールを一口飲むと、空っぽの胃壁にビールがきゅっと沁み渡るのがわかる。ふぅ~と全身の力が抜ける。普段仕事なんかで溜まっている疲れも、ここで一気に抜けていく。
しかし、ここで完全に油断しきってしまうわけにはいかない。
なぜなら、その後に肝心な勝負が控えているからだ。ほんのひとときリラックスした後は、純粋にラーメンという敵がやってくるのを待つのだ。
いわば、ビールを飲むという行為は、戦いの前に行う禊ぎのようなものだと言ってもいいだろう。

待つこと、数分。
たかが数分なはずなのだが、何故か、まるで武蔵を待っていた小次郎のような心境になってしまう。もはや、この時点で敵の術中に嵌ってしまっているのだろうか。
明らかに焦らされ気味の自分の前に、とんとどんぶりが置かれる。
敵であり、主役でもある、ラーメンのお出ましだ。

割り箸を「パキッ」と割った音が、戦いの始まりを告げる合図だ。
それと同時に、勢いよくれんげでスープを軽く飲み、麺をひたすら一心不乱にずずっとすする。
麺がのびきる前に、ヤツを倒してしまわなければならないのだ。

おしゃれな喫茶店やカフェに行くと、そこはスウィーツに目がない女の子達で一杯で、男である自分は肩身が狭い思いをしてしまうのが実情だ。いくら自分が甘いモノ好きだからといっても、女の子と一緒に行ったとしても、何かが違うのだ。ここは、自分の居場所じゃないと、自分の中の何かが告げる。
しかし、この空間はそうではない。
なにしろ、気を遣う必要がまるでないのだ。どんなに食べるときにずるずると音を出そうが、辛いものを食べて鼻水が出ようが、にんにくを入れすぎて臭くなろうが、おかまいなしである。勝負に集中する『環境』というものが完璧にできあがっている。それに乗じて、ひたすら攻め続ける。

だんだんと箸に麺が引っかからなくなってくると、攻めている一方なはずの自分に変化が生じてくる。
脳が弛緩して全てがどうでもよくなってしまったり、もう終わってしまうのはイヤだという名残惜しい気持ちが生まれてきたりするのだ。
そして、その気持ちが、時間が経つにつれてどんどん大きくなる。
…おかしい。こんなはずではなかったのに。
そう思いつつ、店員にそっとこう告げる。

「すんませーん、替え玉、バリカタで。」

早い話が、負け宣言である。
替え玉を食べ終わる頃には、もうすでに骨抜きになってしまっている。まさに甘美なる敗北というヤツだ。

自分を完膚無きまでにノックアウトしてくれるような、まだ見ぬ強豪に出会いたい。そう思いながら、今日もラーメン屋の暖簾をくぐるのであった。

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とにかく、好きなんです。

高級料理店に滅多に行かない理由が、2つある。

ひとつは、純粋にお金がないからだ。
銀座の高級江戸前寿司屋とか、青山の高級フランス料理店なんかにふらっと行けるようになりたいという夢もある。でもね、やっぱりどう考えたって高い!高すぎる!そうやすやすと行けるかコンチクショウー!
…少々取り乱してしまったが、こればっかりは、安月給なサラリーマンをやっている以上、覆しようのない事実である。

もうひとつ。
おいしいものを食べたときに得られる満足の『絶対値』というものがある。どれぐらい、そのモノを食べたことで、ほうっと気が抜け、頬の筋肉が緩み、脳内にβ-エンドルフィンが分泌され、シヤワセになる度合いのことだ。
実は、高級料理を食べたときの満足の度合いと、B級グルメのおいしいものを食べたときの満足の度合いは、ベクトルの向きは違えど『絶対値』はほぼ等価であることに、あるとき気がついた。そのB級グルメとは、ときにラーメンであったり、ときに野外で食べる塩むすびであったり、さまざまである。
もちろん、お好み焼きとて、その例外ではない。むしろ、『the best of B級グルメ』の称号を冠してしまってもいいぐらいだ。

『言戯』のそんちょさんに負けず劣らず、自分も、お好み焼きに恋し、恋焦がれている人間のひとりである。関西や広島の人間と付き合いが多いせいかもしれない。

お好み焼きの楽しみ方には、3つあると思っている。

①自分で作る

自分で作るお好み焼きは、決まって大阪風。銀色の計量カップのような器に、生地と一緒にキャベツやらイカやら豚肉やらが所狭しと詰め込まれてやってくる。それをぐちゃぐちゃかき混ぜて鉄板の上に載せ、焼き上がりを待つんである。
おいしく焼くためには、守らなければいけないルールがあるのだ。

混ぜるとき、しっかり空気を入れてやること。
間違っても、早く焼き上がってほしいからといって、ヘラでパンパン叩いたり、ぎゅぅっと押しつぶしたりしてはいけない。そこをぐっと我慢することで、焼き上がったときのふわふわ感が味わえるのだ。

ちょっと表面が焦げすぎたかな、と思っても、そこからもう少し待ってひっくり返すこと。
前述のふわふわ感を味わうためには、しっかり中に火を通してやらないといけない。実は、表面がきつね色を通り越して焦げ茶色になっているぐらいがちょうどよかったりする。その方がうまくひっくり返せるし、周りがカリカリとして小気味よい食感が出せるはずだ。ヘラのカドでつっついて「サクッ」という音がしたら、うまく焼けていると思っていいだろう。

知人友人と自分で焼く店に行ったとき、ときどき「焼いてくれ」と頼まれることがある。よっしゃ!と思って焼くのだが、実は責任重大でけっこうプレッシャーがかかっているというのを周りに知られないようにするのに必死なのかもしれない。そんなときは、周りがしている話にはあまり入っていけない。
無事焼き上がって、「おいしい!」と言われた、自分がおいしいと思ったときに、初めてその苦労は報われるのである。その瞬間は、自分でうまく焼いたものを口に入れたときのおいしさに勝るとも劣らず、うれしい。

②焼いてもらう(大阪風)

お好み焼き屋は、なにも自分で焼く店ばかりではない。ちゃんとしたプロの技術をもってして作り上げられた『作品』を出してくれる店も数多く存在する。
大阪・天満の改札を出て徒歩1分、アーケードに店を構える『菊水』がいい例だ。大阪に行ったときは、時間があればここに食べに行くことにしている。上記の焼き方も、実はここで見たのをマネしているだけだったりするのだが。
この店のお好み焼き、目の前の鉄板で焼いてくれるのだが、一切手を出してはいけない。お腹の空いた状態で、目の前で、静かにじっくりと艶めかしく焼かれていくお好み焼きを眺めながら、ただ唾を飲むことしかできない。まさに蛇の生殺し、「踊子さんには手を触れないでください」状態だ。

待っている間、こんな札を机の上に置かれる。

食べたらパンチだそうだ。厳しい闘いがそこにはあった。

しかし、晴れて焼き上がり、一口頬張ると、そこには幸せな世界が待っている。

じらされるとその分キモチイイようなもんである。そんな人間心理も、うまく味のスパイスとして取り込んでいる気がする。

東京に、そんなお好み焼きを出してくれる店があるというのを、テレビで見た。東急池上線沿線、蓮沼駅の『福竹』だ。ぜひとも一度行ってみたいので、同行者、募集中。

③焼いてもらう(広島風)

広島では、喫茶店や、コンビニの数よりもお好み焼き屋の数が多いと言われているそうだ。(なんでも860店舗ぐらいあるらしい)
そんな数多あるお好み焼き屋の中でも、常にトップクラスに位置するであろう店が、薬研堀『八昌』だ。今は取り払われてしまったが、芸能人のサインが壁に所狭しと書かれているほどの有名店で、1時間待ちはざらである。広島に遊びに行ったときは、必ずと言っていいほど足を運んだものだった。
そののれん分けが東京は小田急線沿いの経堂駅にあるのは、東京在住な自分にとってうれしい話だ。週末など、ときどきお世話になっている。

だいたいの広島風お好み焼き屋は、ファストフード感覚の大阪風お好み焼きと違い、どこに行ってもお好み焼きと並列で鉄板焼きを扱っている。実はきっと、これが広島風お好み焼きがスローフードたる所以なんだろう。
例を挙げると、経堂の『八昌』に行った際の、自分流の広島風お好み焼きの楽しみ方は、こうだ。

まずは、チャンジャキムチや味噌煮込みなどをつまみに、ビールで乾杯。
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牛タンやカキバターなどの鉄板焼きをゆっくり楽しむ。お酒は、チューハイや焼酎に切り換えてもよい頃合。
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とんぺい焼きや、焼きそばを頼む。待っている間は、のんびりと話に花を咲かせることができる。
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とんぺい焼きや焼きそばを食べ終わるちょっと前ぐらいに、タイミングを見計らってお好み焼きを注文。焼き上がりに時間がかかるのだが、たいがい、お酒と程よい満足感でそんなことはちっとも気にならなくなっている。
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最後に、ようやくメインディッシュ登場。(写真は『そば肉玉』)

カリカリ感と、ぎっちり詰まった中身がたまらなくおいしい。
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ごちそうさまでした。所要時間、約2~3時間。

お好み焼きは必ずひとつ丸ごと食べなければいけない、という概念を捨てれば、広島風お好み焼きはコース料理としての食事スタイルでも楽しめるのである。好きな人と、行きたいと思う人と食べに行くお好み焼きは、また格別なものがあるのだ。

余談だが、Webで検索をかけていたら、自宅の広島風お好み焼きの作り方を書いたブログ(なせば成る:広島風お好み焼きの作り方)を発見したので、こちらもトラックバックさせて頂くことにした。いずれ試してみることにしよう。楽しみだ。


最後に、これだけはどうしても言っておかなければならない。
慣れるまではポロポロこぼれるが、それはお好み焼きをおいしく食べるための授業料だと思って我慢するべし。
こっちの方が、きっと箸で食べるよりも何倍かおいしい。

だから、


お好み焼きは、ヘラで食え!


以上。

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黒くて丸いあんちくしょう

箱根に行ったと書いたが、何も飲みにだけ行ったわけではない。いちおう、「タテマエ」というものがある。観光地に行ってきた以上、なにやら旅行っぽいこともしないと、やはりもったいないと思うのは人間の性だ。

で、せっかくなので、大湧谷に行ってきた。ごつごつした岩肌のところどころから、もくもくと煙があちこちから噴き出しているアレである。
一緒にロープウェイに乗っていたじいさんが、急に視界に入った大湧谷の壮大な景色に思わず大興奮、同行していた家族に向かって

「か、カメラ、カレマ!!

なんて叫び出す一幕もあった。血圧上がって倒れなきゃいいけど。なんだかローマ字の打ち間違いみたいな間違い方で、しばらく笑いが止まらなかった。

ロープウェイの大湧谷駅に到着。
なにやら外人さんの観光客も多く、ごった返す駅はなかなかインターナショナルな雰囲気だ。通りすがった人が「グーチョキチョキダサナイヨー」と言っているように聞こえたが、実際のところ、何語なのかわかったもんではない。日本なのに、不思議な世界。

噴煙地が一望できる(らしい)展望レストラン兼おみやげ売店のある『大湧谷観光センター』へ向かう道には、こんな表示が。

さすがリゾート地、スケールがでかい。
何が何でも黒たまごで商売する気なんであろうか。いい心意気だ。

今回は、そんな『元祖まご

…ではなく、『黒たまご』の作り方を、まだご存じでない方のために紹介しようと思う。
見に行って初めて知ったのだが、こうやってできているらしい。

①順番を待つ籠の中の鳥、もとい、たまご。

もしこの白や茶色のたまごが感情表現をするならば、きっと「何がなんだかよくわからないけど連れてこられて困惑している」という表情をするだろう。

②ゆったり入浴。ここで華麗な大変身を遂げるのです。

清楚だったのに、夏休み明けたらすんげぇ日焼けしてコギャルになってた女子高生ばりの変貌ぶり。

③5分だけスチームサウナで最後の仕上げ。

黒たまごをお湯につけたりいろいろと作業しているこのおっちゃんは、毎日毎日そうなのであろう、柵越しに大勢の観光客の視線を浴びながら黙々と作業していた。何かに似てるなーと思って気になっていたのだが、思い出した。動物園のパンダだ。一人で納得。

④黒たまご様専用ロープウェイで、登場を待ちわびるファンの元へ。

この専用ロープウェイが、なんだかカワイイのだ。小人さんになって乗ってみたいという願望すら抱いてしまう。

⑤お父さんお母さん、今まで育ててくれてありがとう。

ゆでたて、6個500円也。

子供の頃は、中身が「黒身」と呼べるほど白身の部分が真っ黒になってしまっているものと想像していたが、そんなたまごはきっと怖くて売れないに違いない。早い話が、中身は黒くなく、ふつうのゆでたまごである。
殻がかなり剥きづらく、時間がかかった上にぼろぼろになってしまった。でも、食えりゃいいのだ。塩をかけてぱくっと一口、二口。それだけで、十分満足できる。余計なものはいらない。

ちなみに、この黒たまご、『1個食べると7年寿命が延びる』というふれこみだそうである。これで当分は身の安全が保証されたに違いない。
もしウソだったら、JAROに文句を言おうと思っている。いいよね。

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まぁるい中には愛がある?

そんちょさんが、たこ焼きについて悩ましくも熱く語ってらっしゃるのを見て、自分の中のたこ焼き指数がぐんぐんと上がってきたようである。そろそろ季節だしね。たこ焼き低気圧発生か?

学生時代。自宅の最寄り駅に帰り着くと、改札が見える階段を数歩下りたあたりで、冬は毎日のようにソースの匂いがしたものだった。改札を出て右側と左側にちょっと行ったところに、それぞれ白いライトバンが停まっていて出店を開いていたのだ。右側が大判焼き屋、左側がたこ焼き屋だった。自分が帰る方向が改札を出て左側だったこともあって、たいがい大判焼きには目もくれず、ソースの匂いに負けてたこ焼きを買って帰った記憶がある。

たこ焼きにはいろいろあるのだが、「おいしい」たこ焼きとなるとどうなるだろうか。僕は「a おいしい」とか「one of おいしい」たこ焼きは多いものの、「the おいしい」という最上級に近い賛辞を贈るべきたこ焼きは非常に少ないと考えている。
たこ焼きの味の決め手となるのは、絶妙な食感のバランス
その条件を以下に挙げてみる。

◆体積密度が濃くて、焦げる一歩手前の「ガワ」

たこ焼きは、たこという主役の他に、紅しょうがやねぎ、天かす、生地などの脇役が一体となってハーモニーを奏で、物語を作らなければいけない。その物語の導入部となるのが、「ソース」であり「ガワ」なのだ。
カリカリしかかっているんだけれども、ソースに触れてちょっとしんなり気味になっている生地は、口の中で非常に存在感を主張し、「あぁ、僕は今たこ焼きを食っているんだなぁ…」と思わせてくれる。
と、ここまで書いたところで、「もっちりとした食感」という言い回しを思い出した。何かクヤシイ。

◆さわやかさん「ねぎ」と「紅しょうが」

たこ焼きは、濃い。でんぷんにソースに揚げ玉。これだけでも胸焼けがしそうになってしまう。そんな中、それを緩和する清涼剤の役割を持ったものが「ねぎ」と「紅しょうが」だ。噛んだときの、歯の表面でのみ感じられるシャリシャリという歯応えが、さわやかさとやすらぎを与えてくれるのだ。

◆主役なのに脇役のような演技「たこ」

たこが大きい方がいいと言う人はいるものの、そんな単純なもんじゃない。でかすぎはNG。舌がたこに「だけ」触れてしまっては、ただゆでだこを食べているようなものだ。1.5㌢角程度がいちばんよい食感が得られるのではなかろうか。

◆絡め、絡め、絡みつけ「とろとろ生地」

実はこれが店によっていちばん異なり、かつ、たこ焼きの味を左右する最重要なファクターなのではないかと思う。
噛んだときに流れ落ちたりむにゅっとはみ出たりせず、かつ、たこの「表面」と一体化して離れようとしない絶妙さ。これが欲しいのだ。食材と食材を、味と味をつなぐ、文字通りの「つなぎ役」なのだ、重要視して何が悪い、という話である。縁日やお祭り、大学祭などの露店のたこ焼き屋は、コレができとらん!修行してこい!というわけだ。

何が言いたかったかというと、自宅の最寄り駅のたこ焼き屋の「それ」は、これらの要素をすべて兼ね備えていたということだ。これを超えるたこ焼き屋には、まだ巡り会ったことがない。東京に住んでいる限り、厳しいとは思うのだが…
関西在住で、この拙い文章ないし説明でニュアンスを汲み取ってくれて、そういうたこ焼きを出してくれる店を教えてくれる人を随時募集中。

余談だが、先月、某友人達とバーベキューをしたときに、たこ焼きパーティーをやろうということになった。
たこ以外にもいろんな具を入れて楽しもう!というふれこみだったが、たこ焼き器に焦げ付いてしまってちーともうまくいかなかったので

結局全部ひっくり返して鉄板で炒めてしまった。あっはっは。もじゃー。

具に天津甘栗なんか入れるから固まらないんだってば。


おあとがよろしいようで。

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デファクトスタンダード

もう数年前だろうか。確か、天気のいい日曜日の昼だったことは覚えている。

友人に連れられ、歌舞伎町のとある定食屋に入った。新宿コマ劇場の下にある、『フライキッチン峰』という店だ。ビルの1階だが、いちばん奥まったところにあって、昼間なのになんだか蛍光灯の光量が足りないんじゃないかと思えるような、ずいぶんと古い店のたたずまいだった。
店にたどり着く前から、すでに辺り一帯には油の匂いがしていた。入口のところにあるメニューのガラスケースには、ろう細工の揚げ物がずらり。まさに揚げ物定食専門店で、フォークが宙に浮いていて「パパー、あれほしい~」とか育ち盛りの子供に言わせるようなスパゲッティのろう細工なんて置くことを許しちゃくれないような雰囲気だった。

中に入って、文字でメニューをざっと眺める。
すでに、店の雰囲気と食欲のなさに負けそうだった僕は、メニューの中でいちばん量の少なそうな「カツ丼」を注文した。
カウンターに置いてある小林幸子の箱ティッシュを見ながら「おぉ、さすがコマ劇!」なんて感心しながら、談笑しつつできあがりを待っていた。と、そのとき、カウンターの向こうにいるおばちゃんが呼びかける。振り返ると、

おばちゃん「ごはん、これぐらいでいい~?」

のわー!! おばちゃん、それどんぶりから高さ3㌢ぐらいはみ出てるからー!!!


しかも、さらに恐ろしいのが、「これぐらいでいい~?」と言いながら、さらに盛る手を止めようとしないのだ。小さな親切、大きなどんぶり、盛ったごはんは超大盛。たまらずタオル投入。
「すいませーん、それ逆に減らしてもらえます?」

減っても多かった。…参った。

味の方はどこか懐かしくて、とりわけというわけでもないが、けっこうおいしかった。
定食のお値段はのきなみ1,000円以下。おかわり自由だそうだ。この類の定食屋さんは、ごはんが多いのが標準らしいので、ふつうの人はおかわりの必要もないかもしれないが。
揚げ物をもりもり食べる元気と体力のある方は、ぜひお試しあれ。

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