« 沖縄を別の意味で満喫する | Main | 東京23区くじ引きツアー【2】 »

東京23区くじ引きツアー【1】

運の良い人々とは、強い信念を維持し、数々の犠牲を払い、
粘り強い努力を続けてきた人々である。
                       ──ジェームズ・アレン/哲学者



大阪に住む友人『バカ長男』くんから「5月の3、4日行きます!!」と連絡が入ったのは、4月の中半のことであった。『アホ次男』くん(ふじやん氏)も休みが取れたので一緒に東京に来るんだそうだ。

この通称『大阪兄弟』と知り合ったのは数年前。
彼らは実際の兄弟ではなく、なぜか次男くんの方が年上だったりするんだが、まぁ詳しい説明は省こう。
とにかく、2人とも「あぁ、典型的な関西人ってこうなんだ!」と言わんばかりのベタな関西人である。ノリもよくて話しやすく、知り合った初日からすぐに打ち解けたのだった。それ以来、ときどきこちらが大阪に遊びに行ったり、向こうが東京に遊びに来たりと交流を続けていたのである。

さて、来るという連絡をもらってはいたものの、実はそれっきりで、会ってから何をするかが全く見えていなかった。
4月も下旬になり、さすがにそろそろ何して遊ぶか決めておかねばまずいと思い、長男くんに電話をすると、

「とにかく5月の3日と4日にオノボリさんツアーってな感じでそちらにいますんで、ふらっと観光するもよし、飲んで昔話するもよし、歌うもよし、クラブとかで踊るもよし、何も決めずに適当に遊びましょうよ」

と言う。
連絡がないというのは、どうやら本当に無計画そのものだったらしいということが判明したのだった。
個人的には、まぁそれでも会って適当に飲みかカラオケでも行ってしまえばなんとかなるかと高をくくっていたところはあった。

しかし、そうは問屋が卸さなかった。
一緒に大阪兄弟を歓迎する立場にいる、こちら在住の友人『高倉仮面』氏は、そんな甘い考えを見事に打ち砕くようなとんでもない『企画』を懐に隠し持っていたのだった。

そんなことは微塵も予想しないまま、高倉仮面氏に電話をする。

たい「大阪兄弟来るらしいじゃないですか」
高倉「あー、知ってる知ってる。『吉田ナゴヤ』さんから聞いてるよ」
たい「長男くん曰く、行き当たりばったりでとにかく我々と遊ぼうって主旨らしいですよ」
高倉「それ早い話が何も考えてないっちゅーことじゃない」
たい「まぁ、そうですねぇ…」
高倉「ほらアレだ、オノボリさんツアーって言うんなら、東京23区を観光しようよ」
たい「浅草とかですか?」
高倉「いや、東京23区」
たい「ぃい!??!? 23区全部ですかぁ!??」
高倉「言うてもねぇ、東京にはいろいろあるよ? 君だってまだ知らないところはいっぱいあるはずだ」
たい「それって、各区の『世田谷区~』とかいう標識とか名所とかと一緒にみんなで集合写真撮って『はい、次の区!!』って感じなんですかね?」
高倉「まぁそうだねぇ」
たい「じゃあ、地図とにらめっこしてちゃんと効率よく回れるルートを事前に考えとかないとダメじゃないですか」
高倉「いや、すんなり隣の区に行けるとは限らないよ?」
たい「…!! まさか……くじ引きですか…!!!」
高倉「いやねぇ、どうも最近『水曜どうでしょう』の見過ぎでこういうことしか思いつかなくってね」

倒れそうになった。このヒト、容赦ない。

いろいろ話しているうちに、1日で23区全部回りきれるのかとか観光名所のない区はどうするとかいう難題が出てきたが、こんなむちゃくちゃなことはそうそうできないからやっておこうとかいう結論に至り、難題は「まぁなんとかなる」ということになった。

やることが決まったら、あとは行動に移すのみである。
大阪兄弟には何をどう回るのかすら一切教えず、ただ「早く来ないと回れなくなっちゃうから、東京に早めに来るように」と、とんでもなく一方的な連絡をする。
そして、23区の名前をひとつひとつ書いたくじと、東京都区分地図、各区の観光スポットリストを用意し、準備完了である。


運命の当日、5月3日はあっという間にやってきた。


23kuji1


待ち合わせは、JR東京駅・銀の鈴前。
詳細も教えなかったのにも関わらず、大阪兄弟は頑張って早起きし、朝8時半過ぎの新幹線に乗ってくれたようである。
エライ。素晴らしい。

大阪兄弟が到着する前に、東京組の参加メンツである高倉仮面氏、吉田ナゴヤ氏と先に合流。

高倉「たいさん、例のモノは持ってきたかい?」
たい「もちろんですよ、これがないと始まりませんからね」

そっとカバンの中から茶封筒を取り出し、中に入っているくじを見せる。
吉田氏の口から「本気だ…! あー、ホントにやるんだ」という言葉が漏れた。
確かに、全員の気持ちの3割か4割は、明らかにやりたくない方向に傾いていたに違いない。いや、もしかしたらもっと高い割合でやりたくなかったのかもしれない。
でも、やはりせっかく計画したからには、あとは遂行するのみである。

そこからしばらく、東京組だけでの最終打ち合わせタイムになった。
いわゆる"ババ"は有名な観光名所が殆どないに等しい『荒川区』や『足立区』であり、それを初っ端から引いてしまった場合はどうしようという話に終始していた気がする。

そうこうしているうちに新幹線が到着する時間となり、それからしばらくして大阪兄弟の2人が銀の鈴待ち合わせ広場にやってきた。
久しぶりの再会で、談笑しながら移動する5人。向かう先は、東京駅の丸の内中央出口である。

「まぁ、せっかく東京に来たんだし、まずは東京駅の正面でみんなで記念写真でも撮ろうよ」

狐につままれたような顔をする大阪兄弟。
そんな大阪兄弟を、東京在住のくせにだだっ広い東京駅構内で微妙に迷いつつも、無理矢理東京駅の正面まで連れて行く東京組。
そんな我々を出迎えてくれたのは、気持ちよく抜けるように晴れ渡った青い空と、レトロだがものすごく存在感のしっかりした赤レンガ造りの駅舎であった。この色のコントラストが、また素晴らしい。

23kuji2

「な~んかこれはちょっと観光っぽいんじゃない!?」
思わず頬もゆるみ、テンションが上がる。
そして、1枚目の記念写真をパチリ。
この瞬間の大阪兄弟は、この後何がどうなるのかという不安もきっと忘れていたんじゃないかと思うくらいの喜びようであった。

だが、世の中そう甘くはできていない。
テンションを上げつつも、しっかりと次の方向に持って行く我々東京組。

たい「いやー、『東京駅』をバックにいい写真撮れましたねー」
長男「これはホントにオノボリさんしてますね!」
高倉「たいさん、『東京駅』は何区だっけ?」
たい「『東京駅』は『千代田区』ですね!」
高倉「よし、これで『千代田区』は制覇だ!!」
長男「え? 『千代田区』…?」

ここで、『茶封筒』の登場である。

たい「まぁね、東京にも『東京駅』以外にいろいろ観光名所があるわけですよ」
長男「まぁ、そうですねぇ」
たい「長男くん、黙ってこの中から1枚引いてくれ」
長男「え? ちょっ…何ですかコレ?」
高倉「いいから!」
たい「引いたら見せて!」


長男「荒川…区…?」


23kuji3


いきなり愕然とする東京組3人。
相変わらず訳のわからなさそうな大阪兄弟。
このコントラストも、今思えば、美しい図式であった。

そして、おもむろかつやけくそ気味に高倉仮面氏が声を上げた。 

「よーし、今から荒川区行くぞ!」

この一言でようやく、大阪兄弟はこの企画の内容を正しく把握したのである。
よくよく考えてみればとんでもない話なんだが、計画を立てずに東京に出てきた彼らには、もはやこの現実を無条件に受け入れるしか方法がなかったのだ。
ご愁傷様、といったところか。


かくして、『東京23区くじ引きツアー』は"本当に"スタートを切ることとなった。
全てはくじ任せのこの無謀な旅、この先に我々を何が待ち受けているのか、荒川区に向けて東京駅を出発した時点では知る術もなかった。


つづく。

|

« 沖縄を別の意味で満喫する | Main | 東京23区くじ引きツアー【2】 »

Comments

うわ、おもろそーw
今後の展開に期待してます。

って、既にツアー?終了後のたいさんは、かなりゲンナリしてそうですが…

Posted by: お茶な後輩 | May 07, 2005 at 01:41 PM

そんなヤラセ番組の如く早速ババって・・・
自分 そーいうノリに弱いんです♪
ん~気になる~

Posted by: いとしゅん | May 07, 2005 at 03:03 PM

楽しそう!この企画いいじゃないっすかぁ~
私は「水曜どうでしょう」大好きっすよ。
できれば、23区のイラストが入ったTシャツ着て、
制覇した区を塗りつぶすって所までやって欲しかった!


ローマ字書きで「ARAKAWA-KU」まで
しっかり書いてあるんだから(笑)

コトの成り行き、かなり気になります・・・

Posted by: fanshen | May 07, 2005 at 05:53 PM

なんか深夜番組的な企画!!!
実際やるのは体力的にもキツそうだけど、おもしろそう(笑)
23区・・・そういやぁ、あたしもメィジャーなスポットのある区しか行ったこと無いです。

あっ(゚∀゚;)!!
荒川区だったら、「金八先生」の撮影で定番(?!)な荒川の土手があったじゃないですかぁ~!!

Posted by: えみ | May 08, 2005 at 02:18 PM

おはつでし♪mixiから飛んできたよぉ~
よろしゅうです(*^ - ^*)

面白そうですね~移動、、大変だけど・・・
一日乗車券をフル活用できるイベントかもぉ~w

自分、行くだけでは、もったいないから美味しい物を食べたいですなぁ~w


Posted by: neena | May 08, 2005 at 09:45 PM

>お茶くん
ちくしょう、読者だからって楽しやがって!!
ってのは言いがかりです。

>いとしゅんさん
まだくじ残ってるんで、
なんなら引かせてその区に行かせてあげましょか?

>fanshenさん
事前準備はひたすら低予算なんで、そんなTシャツなんてものは準備できませんでした。
でもやるならそこまでってのもアリかも?

>えみちゃん
マイナーなところ、探せばいくらでもあるらしいってことがよくわかったよ。
ちなみに金八先生は誰も見てなかったのかも…

>neenaさん
はじめまして('-'*) よろしゅうです。
1日乗車券は、一体何に乗るかわからないんで買えなかったんですよ。ひどい話ですが(苦笑)
美味しいモノの話は、また別の機会に。

Posted by: たい | May 08, 2005 at 11:59 PM

企画者から見た『東京23区くじ引きツアー』【1. 千代田区】

千代田区は「永田町」や「神田」や「秋葉原」など、観光するにも食事をするにも実力を備えた場所が多い地域だ。

「神田」は吉田氏が得意とする地域の一つで、これまでも「藪そば(そば)」「松屋(そば)」「きくかわ(うなぎ)」等の名店に案内していただいた。これらの店は、そもそも店の外観からして観光に耐えうるだけの重々しさを持っており、大阪兄弟に「これぞ東京だっ!」という事を示すには充分すぎる程のインパクトを持っている。締めに「万惣(ホットケーキ)」に行けば、これはこれで充分な観光になっていたはずだ。

「秋葉原」は「電気街・オタク街」としてその名を知られており、中年五人でオタクショップに行って「萌え~っ」とか言うだけでも充分に観光の価値はあるのだが(?)、それ以上に見逃してはならない事実として、この辺りは「外神田」である事が挙げられる。つまり、ここにも「丸五(とんかつ)」「味たつ(牛たん)」のような「味の名店」が存在し、特に「丸五」の建物の外観は、電気街・秋葉原の中にあって異彩を放っている為、これまた良い観光となる。

その他にも、たい氏も本文で挙げているように、千代田区には観光地が多量に存在する。そもそも出発地点の「東京駅」からして、「デパ地下」をウリにしているわけであり、これはもう、区を挙げての「観光客はウェルカム!」という状態だといえよう。

そんな「千代田区」を観光地として早々に除外してしまったのは、今考えると慙愧の念に耐えない。出発地が「東京駅」だったが為の悲劇、という事になるのだろうか。

それにしても、この頃の五人は元気だ。この元気が潰えるのも時間の問題な訳だが。

Posted by: 高倉仮面 | May 17, 2005 at 01:38 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/54071/4021037

Listed below are links to weblogs that reference 東京23区くじ引きツアー【1】:

» 「水曜どうでしょう」的東京観光。 [Alternative Note]
 「俺の、俺の、お・れ・の話しを聞けぇーっ!」ってクレイジーケンバンドの曲が流れ [Read More]

Tracked on May 19, 2005 at 12:39 AM

« 沖縄を別の意味で満喫する | Main | 東京23区くじ引きツアー【2】 »