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東京23区くじ引きツアー【7】

今回の『都々逸』
 「あ」…あぁ今回も
 「だ」…大移動だよ
 「ち」…ちっともよくない
 「く」…くじの運


このエントリーを書くにあたって、ふと中学・高校時代の修学旅行を思い出していた。
まぁいろいろなところへ行ったんであるが、1日の『観光』部分の終了時刻というのはどの日もだいたい夕方の6時ぐらいだったように記憶している。
そこから7時ぐらいまでに食事を済ませ、あとは部屋で自由時間を過ごすのである。テレビを見るもよし、トランプやUNOに興じるもよし。消灯後は、僕らの場合はひたすら友人の怪談を聞かされるという『怪談アワー』であった。
とにかく、そこにはのんびりとした時間が流れていたのだ。

何が言いたいかというと、旅行というのはいろいろなところに行くのも楽しいんだが、ある程度の時間で『観光』はすぱっと切り上げてしまって、あとはのんびり過ごすのもありなのではないかということである。


ここで、我々の『東京23区くじ引きツアー』に話を戻そう。
時刻は夜7時、現在地は『杉並区・高円寺』。
この後の過ごし方としては、「新宿や渋谷や池袋、あるいは六本木なんかに出て、くつろげる店でおいしいお酒と料理をゆっくり飽きるまで堪能する」というのが理想であった。

新宿は『新宿区』、
渋谷は『渋谷区』、
池袋は『豊島区』、
六本木は『港区』である。
いずれも今いる高円寺からはアクセスがよく、ものの30分あれば着けるロケーションだ。

しかし、我々はたったひとつのルールに則り、このツアーを進めている。
そのルールは、ものすごく単純極まりない。

『くじを引いた区に行く』

ただ、それだけである。
そして、そのルールを遵守し続け、ここまでやってきた。

だから、

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これから1時間以上もかけて、『新宿区』とか『豊島区』とかをすっ飛ばして、わざわざ『足立区』くんだりまで行かにゃならんわけだ。

…もはや、『ルールを遵守し続けてきた』というよりは、
『ルールに翻弄され続けてきた』と言った方が正しいに違いない。


それにしても、恐るるべきは大阪兄弟の『くじ運の悪さ』である。
ここで改めて、今までに彼らがくじを引き、それに従って移動してきた区を見てみることにしよう。
黄色に塗った区がくじを引いたところ(スタート地点除く)、ピンクの矢印は我々の移動順を示す。

23ku_map2

『①千代田区』→『②荒川区』→『③北区』→『④江戸川区』→『⑤大田区』→『⑥杉並区』→『⑦足立区』となっている。
実際こうして視覚的に見ると、『杉並区』から『足立区』や『葛飾区』がいかに遠くて"ババ"だったのかかがおわかりいただけるかと思う。

それにしても、この魔法陣みたいな模様はいったい何なのか。
見事なまでに住宅地ばかりであり、
しかも後半に至っては、見事なまでに東京23区の外周をきれいに時計回りである。
地図を見ながら、この事実にあまりにも呆れた高倉仮面氏が、ぼそっとつぶやく。

高倉「東京の外周を一周…、これは何の『山手線』なんだ?」

大阪兄弟がいくらこてこての関西人だからといっても、くじの引き方にまでオチをつけることはないんじゃないだろうか。そう思った。


さて、くじを引いた区に行くところまでは不可抗力なのだが、幸いながらそこから先は自由。その区の中の『目的地』の決定権は我々にあるのだ。
もう1分でもいいから移動時間を減らしたい我々は、足立区の中で最もアクセスのよさそうなJR『北千住』駅まで行くことだけ決め、電車に乗り込んだ。

10分と経たないうちに、電車は『新宿』駅へと滑り込んでいく。
さすがターミナル駅だけあって、たくさんの人が電車から降りていき、入れ替わりにたくさんの人が乗ってくる。そんな人たちを眺めながら「あぁ、ホントはここで降りたかったんだけどな…」と思ったが、我々にはそれは許されないことである。
発車の音楽が鳴り、無情にも閉まるドア。

と、そこでひとつ気がついた。

たい「もしかして…北千住なら、新宿から日暮里まで山手線で行った方がよかったんじゃ…?」
全員「…あ。 もういいよ……」

大田区から杉並区への移動に続き、疲れに気を取られているうちに、またもや乗り換え経路を間違えてしまったのである。乗り換える気力も、そして体力ももはやほとんど残っていない5人。
結局、『御茶ノ水』駅までそのままJR中央線で行き、そこから地下鉄千代田線に乗り換えて『北千住』駅へ向かうこととなった。
窓の外を、見覚えのある景色がさっきと逆方向に流れていく。
水道橋にさしかかったあたりで、力の抜けた声で高倉仮面氏がこんなことを口走った。

高倉「ホラ次男くん、今日二度目の東京ドームだよ。地下通ったの合わせたら今日三度目だ」
次男「…見るだけじゃ意味ねぇよ」

しかし、実際に駅を降りて東京ドームに行きたいかと言われると、間違いなく『NO』である。
移動ばかりで疲れてくると、同じ場所を何回も通る『だけ』で、行きもしていないのに飽きてしまうらしい。午前中、短時間で上野を2回通過したときに次男くんが発した「上野はもう飽きました」というセリフを、このとき僕はそっと心の中で噛みしめていた。


『御茶ノ水』駅で千代田線に乗り換え、目的地まであと少しとなった頃。
本当に『足立区』には何も観光名所がないのか?と疑問に思い、事前リサーチの結果をプリントアウトした紙を取り出すと、そこには『西新井大師』と書いてある。
…なんだ、有名な観光名所がちゃーんとあるじゃないのと思って路線図を見ると、どうやらそいつは非常に行きづらい場所にあるらしい。

名所には行きたいが、遠い───。
またしても、『大田区』のときと同じジレンマに陥る我々。
ここで急遽「『足立区』の目的地は本当に『北千住』でいいのか」という内容で話し合うこととなった。

たい「『西新井大師』には行かないんですか?」
兄弟&吉田「イヤだ、絶対にイヤだあああぁぁぁー!」
高倉「じゃあ、名所に行くのをやめて、クジをもう一回引くか、それとも『西新井大師』に行くか」
吉田「そのどっちもイヤだって言ってんだよ!」
長男「だいたい、僕ら上京組の意見が全く通ってないじゃないですか!!!」
吉田「(半ギレで)何、言ってるんだい!こっちは君らの引いたくじにはちゃ───んと従ってるんだよ!!!!!」
長男「そ、そういうコトじゃないですやん!」

『話し合い』は、気づけば『揉め合い』、そして『罵り合い』の様相を呈していた。


結局、罵り合うのにも疲れ、妥協して目的地とした『北千住』に到着したのはなんと夜の8時過ぎ。
さすがにもうのんびりしてもいい時間である。
しかし、我々はまだここから『観光』しなくてはならないのだ。

かといって、『西新井大師』行きをやめてしまった我々には、もはや行くべきところがない。
仕方なく、北千住駅前からまっすぐに延びている商店街を練り歩き、

…商店街?

…また?

そう、気がつけば、『大田区』と『杉並区』に続き、3区連続で商店街めぐりになっているではないか。

高倉「どうだい、蒲田の商店街とは一味違うだろっ?」
長男「両側にアーケードがあるあたりが京都っぽいですねぇ」
吉田「待て待て待て、お前らちょっと待て」

蒲田のアーケード街で、ふつうの商店街を無理矢理観光地に仕立て上げるのはよくないと言ったばかりなのに。
ドリンク剤1本飲んだだけで『杉並区は制覇』と言い切り、さらに向かった先の足立区でも同じことを繰り返すというのか。

…懲りてない。
全く、懲りてない。


商店街をちょっと歩くと、周りの建物とは明らかに雰囲気の違うレトロ調な建物が見えてきた。

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これは何かの観光名所か!?
通りすがりに都合よく観光名所を発見か!??
期待に胸を膨らませてよくよく見てみると、その建物には『○○眼科』と書いてある。早い話が、普通の医者だった。
だが、転んでもただでは起きないのが我々である。
「商店街の奥の方見て何もなかったら、この医者を足立区の観光名所にしよう」ということになり、そのまま商店街の奥へと進むことにした。

さらにもうちょっとだけ行くと、

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別の商店街が横切っていた。
ここまでくると、もう商店街地獄である。そろそろ勘弁願いたいところだ。
とりあえずその2本の商店街をうろうろと奥まで歩いてみたんだが、やっぱり何もないのには変わりなかった。

そもそも、夜8時過ぎというのは、商店街のほとんどの店が閉まっているため、もはやどうしようもないのである。

吉田「夜に引いたら困るとこを昼のうちに引くのはいい。夜になっても、夜に引いたら困るところを引き続けるのはどうか、と」

今回の『足立区』は、地理的なものに比べ、時間的な"ババ"要素が強かったということか。
先ほどの医者が『足立区の観光名所』、ということでどうやら確定の様子であった。
もうどうしようもなくなり、すごすごと北千住駅前へと引き返すと、駅前の大型街頭ビジョンに映った文字が我々一行の目に留まる。

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「まさにこの企画って『アイデアだおれ』だよなぁ…」
がっくりと肩を落とし、ため息をつく一同。
もう、この日一日で何回目かわからないぐらいのため息である。

まぁがっかりはしたが、とりあえずやることだけはやらねばならない。
被写体に困り、結局『北 千 住 駅 KITASENJU STATION』の文字をバックに集合写真をパチリ。
そして、『儀式』。


全員「これでー、足立区はー、制ー覇ー!! …さ、メシメシ!」


あまりにも投げやりだったが、腹が減ってはなんとやら、である。
もうとにもかくにも初日の観光は"終了"としてしまい、商店街を練り歩いて探し当てた『くいものやBAR』という店へ入ることになった。

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少し薄暗くも雰囲気のよさげな店内に案内され、椅子にどっかと腰を下ろす。
そして、今度こそドリンク剤ではなく、ちゃんとお酒で乾杯である。

ホンっトに、お疲れさま─────!!

運ばれてきたビールをごきゅごきゅと飲み干すと、空っぽの胃袋にきゅーっと染み渡る。
そして、全員から、安堵のため息が漏れる。
ツアーをスタートしてから9時間半、ようやく本当の意味で一息つけたのだ。

そこからしばらく、おいしい料理を堪能しながら反省会である。

マジメな話、観光というにはあまりにもひどすぎるところが何ヶ所かあるのは全員が理解していた。
大阪兄弟がせっかく高い旅費を払って東京に出てきているのに、いくらなんでもこれではかわいそうじゃないか。だから、東京23区くじ引きツアーを続行するのではなく、ちゃんとした『観光』をさせてあげようよ、という話になった。
彼ら2人が事前に「横浜にも行ってみたい」と言っていたのを汲んで、いっそ東京から離れて横浜観光するのもありだろう、と。
我々東京組は、ひどいくじを引き続ける大阪兄弟に対しあれだけ罵声を浴びせたりしたものの、本当のところは心ゆくまで満足して大阪に帰ってもらいたかったのである。

で、大阪兄弟に、次の日はどうしたいか訊いてみた。

吉田「明日結局どーすんの?」
次男「こうなったら明日も受けてやろうじゃないの!」


全員「うわ、明日もやるんだ…」


…なんと、案内する側が「くじ引きツアーじゃなくてもいいよ」と言っているにも関わらず、案内される側が続行を希望するという、東京組にとってはある意味『想定外』の事態である。
ただし、「横浜にも行きたい」という意向を反故にしないよう、そしてこれ以上無駄な観光を繰り返さないよう、エクストラルールを設けることとなった。

・しっかり観光すること
・横浜に行くのにアクセスのいい区を引いたら、そこで『東京23区くじ引きツアー』は終了とし、横浜へ向かうこと

そして、翌日の待ち合わせ場所を決める、本日最後のくじ引きである。
長男くんが、恐る恐る茶封筒からくじを取り出す。


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『台東区』。
高倉仮面氏と吉田ナゴヤ氏が大得意とする『上野』と『浅草』は、この『台東区』にあるのだ。

高倉「おぉ! 長男くん、よくぞ引いてくれた! オレらの得意分野だから任せとけ!」
長男「え、やっと当たりくじですか! よかったー!」

くじを引き続けること7回目。
やっと、やっとのことで『全国に名だたるまともな観光地』を引き当て、大喜びする一同であった。


明日こそ、まともな『観光』ができるのか?
そして、我々は東京23区全制覇を成し遂げることができるのか?
様々な期待と不安が入り交じる中、初日の夜は更けていった。


つづく。

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Comments

>「東京の外周を一周…、これは何の『山手線』なんだ?」
おっしゃるとおりですね(笑)!!

次回こそはちゃんとした観光ツアーになりそな気配がムンムンですなぁ♪
タダの名所巡りでは済まないことを、若干期待しておりますよっ!!

Posted by: えみ | May 21, 2005 at 06:27 PM

>えみちゃん

ある意味、タダじゃ済んでないからこうやって記事になるんだと思うんだなぁ。
人の不幸は蜜の味。けけけ。

Posted by: たい | May 22, 2005 at 12:18 PM

>たいサン

途中参加で、ある意味『最大の被害者』コウくんについても
フォローしといたほうが良いかも(汗

Posted by: ふじやん(次男) | May 22, 2005 at 10:48 PM

>次男くん
どうしようかさんざん迷った結果、
我々5人に主眼を置くことにしたのだすよ。

というより、本当の最大の被害者は誰だ…?

Posted by: たい | May 24, 2005 at 02:13 AM

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