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疑問

網棚といえば、吊革と並んで電車の中に確実に存在しているものであり、当然、その主目的は「荷物を置く」ということになる。
しかし、最近その"主目的"に少々疑問を感じ始めているのである。

先日、上司に同伴して打ち合わせで外出したときのこと。
地下鉄に乗ったとき、上司はすぐさま自分のかばんを網棚の上に上げた。
僕はいつも通りにずっと肩にかばんをかけていたのだが、それに気づかれたのか、上司に「網棚に上げないの?」と訊かれた。
そこで、ふと思った。「そういえば、網棚って使わないよな…」

上司は「持ってるの重くない?」と言う。
それはそう。確かにそうだ。
だが、たとえちょっと荷物が重くても、あまり網棚に置く気がしない。何かもやもやとしたものが引っかかるのだ。どうやら、網棚を使うことに何か漠然とした『不安』を感じてしまっているらしいことがわかった。

それはなぜなのか。その『不安』はいったいどこから来るのか。
何の変哲もない日常会話がきっかけで自分の中で渦巻き始めたもやもやしたものの正体を探るべく、その理由について考えてみた。

おそらく、いちばんの『不安』の材料は、荷物が手元から離れてしまうことだろう。
自分の所有物をまとめて放り込んであるもの(かばん)が、ほんの一時であれ自分の身から離れるということは、個人差はあれ、とても持ち主にとっては不安なことであろうと推測する。海外で電車の網棚に荷物を置いてよそ見してしまおうものなら、たちまち盗まれてしまうはずだ。
だから、荷物は自分の手元に置いておくのがいいと思うんだろう。

でも、何かがすっきりしない。不安を誘発する因子は、それだけではないはずだ。

と考えだして、ひとつピンときたものがある。その姿形だ。

昔は本当に網で荷物を支えていたから『棚』という名前がついたんだろうが、最近の網棚の大半は鉄パイプでできている。それじゃあ『鉄パイプ棚』と呼べばいいという話もあるが、『網棚』がもう広く知れ渡っているので仕方ない。
で、この鉄パイプの間がすかすかになっているのだ。パイプとパイプの隙間が約3~5㌢といったところか。
もし、何か小物がかばんの脇からぽろっとこぼれ出たとき、目の細かい網なら落下を防止してくれそうだが、鉄パイプでは支えてくれないのではないだろうか。

もうひとつあった。この『角度』だ。

自分の大事な荷物を預ける場所なのだ。預かったときは、「ちゃんとあなたの荷物を支えているかんね」という意思表示をしてほしい。
中距離電車やバスなんかでは、網棚のいちばん手前に荷物落下防止用のゴムや敷居がついているので、なんとなく「あぁ、これで乗り物がちょっとぐらい激しい動きになっても、荷物落ちたり転がったりしないよね」という安心感がある。
しかし、都市部の電車はそうなっていない。手前の方に置こうもんなら、その部分が斜め下を向いているのだ、ちょっと電車が揺れただけで落っこちてきそうである。どっかの人が読み終わって置いた雑誌が落ちてきそうなのを何回か目撃しているのも、きっとそう思わせる原因なんだろう。

そんな理由で、最近の網棚は荷物に対して責任感が足りない形をしているという認識を深めたのであった。

では、荷物を乗せないとしたら、何に使われているんだろうかと、思い返してみた。

このいちばん手前の鉄パイプ、吊革につかまるよりも安定性があるのだ。特に、満員電車のときは、その安定性は絶大な威力を発揮する。
もはや、網棚は手すりの代わりになっているのだ。
前出の『角度』も、人が手すり代わりに手前の鉄パイプが持ちやすいようにつけられたものかもしれないと思うと、なんとなく納得してしまう。本当にそういう理由でそうなったかどうかは、定かではないが。

一度、網棚の上で寝そべってみるというのもやってみたい気もするが、さすがに恥ずかしいのでやめておく。

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Comments

同感です!
私もずっと網棚に荷物を置く事、不安でした。
でも、サラリーマンのおじ様がたはよくやるんですよね。

そこで提案です。
現状では網棚のマイテリトリーは自分の座席の頭上肩幅程度ですよね?
それを、思い切って、自分と対面する座席頭上の網棚をマイテリトリーにすれば、
乗車中、網棚にある自分の荷物を安心して確認していられると思いませんか?
これなら、たいさんが挙げた様々な不安要素の解決にも繋がるのでは?

荷物が落ちるか否かを自分の目で常に確認でき、落ちたとしても
対面する他人の頭上の為、自分に痛みを伴わない。
対面する網棚にある荷物を凝視する自分の姿勢に、周りの乗客は
おののき、自分の目の前に立つ乗客は減る。
ただし、ラッシュ時はかなり危険が伴いますが・・・。

Posted by: fanshen | November 12, 2004 at 06:57 PM

早速というか、今日の帰りがラッシュアワーでした。(夜11時半過ぎ)
珍しく電車に座れたかと思ったら、周りがあれよあれよという間に人で埋まってしまったですよ。
しかも、目の前に夕刊ゲンダイを広げる人が…

というわけで、目の前の記事を凝視して、
疲れたんで寝て帰ってきました。
おいら失格です(笑)

Posted by: たい | November 13, 2004 at 01:09 AM

網棚の一番手前のパイプはこれはよく捕まった。
満員電車でカーブに差し掛かった時ここに捕まるべし!
これを悪用すると満員のとき、最初突っ張っておいて一気に手を縮めると自分の後ろはものすごい
勢いでなだれが発生!
自分の後ろに鼻息が荒いキモイ奴いたらこれで撃退すべき!

Posted by: くぼっち | November 15, 2004 at 12:18 AM

そうやって崩れると、前に座ってる人の膝の上とかに乗っちゃってちょっと気まずいんだよねぇ。
昔、見知らぬサラリーマンのおっさんの膝の上にちょこんと座ってしまったことがありました。立ち上がろうとしても、その空間にはもう人、人、人。
結局中腰で5分ぐらい耐えたけど、ツラかったなー。

Posted by: たい | November 15, 2004 at 01:59 AM

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